ガスコーニュ便り

<   2013年 03月 ( 18 )   > この月の画像一覧




coquille Saint-Jacques 帆立貝

二枚貝の王様といえば帆立貝かな、と思うのですがいかがでしょう。
f0241468_17395587.jpg

フランスでの帆立貝の解禁期間は10月1日から5月15日と定められています。
いまが食べ頃と、お買い得になっているのを見かけたらたまのぜいたく、と買ってきます。魚屋さんに貝を開けてもらうとキロ当たり3〜4ユーロアップになるのでもちろん自分で開けます。
いまの時期だとお買い得の日には1キロが6ユーロ弱。10枚買うと大体10ユーロ強。お買い得でもやっぱり高い。貝柱がかなり小さめなので、稚貝なのかも。
我が家では、綺麗な貝は石けん置きや灰皿などになります(笑)

生きているのでお造りにもできますが、うちではもっぱらバターソテーにして食べます。貝柱のソテーにはアンディーヴの蒸し焼きがぴったり合うのでいつもこの組み合わせ。それにじゃがいものピュレとほうれん草のソテーを合わせると最高の一皿^m^

夫が貝ひもを食べないので、こちらは私だけのお楽しみ♪
よ〜く洗って刻んで柚胡椒でいただきます。あるいは生姜じょうゆで軽く煮て、ごはんのお伴にすることも♡貝柱も美味しいけれど、貝ひもも楽しみなのです。
f0241468_17403559.jpg

帆立貝はcoquille Saint-Jaques(コキユ サン=ジャック)と言います。サンティアゴ=デ=コンポステラへの巡礼者が帆立貝を鉢として用いたことから、帆立貝はSaint Jacues(聖ヤコブ、スペイン語でサンティアゴ)の象徴となっているのです。ちなみにうちの前にある聖堂の名前も、サン=ジャック。
f0241468_17405719.jpg

去年夏の休暇に訪れたスペインバスクのEstella(エステーリャ)という小さな町。サンティアゴ・デ・コンポステラへの巡礼地の一つです。左側の壁に青いパネルがありますが、これは帆立貝を題材にしたシンボルマークで、巡礼地となっている町のあちこちで見かけます。
[PR]



by paloise | 2013-03-30 17:45 | 食べもの

秋冬西洋梨あれこれ

母が「朝の果物は金」と口癖のように繰り返していたせいか、果物に始まり果物に終わる、というのが私の日々の生活です。夫も果物なしに生活することのできない人。
春から秋までは果物天国ですが、晩秋から春先までは果物の乏しい季節。ニースから来るオレンジも2月の終わり頃にはとっくに旬を過ぎ、いまの時期はもっぱら梨とりんごを食べています。
4月ももうすぐそこ、国産のいちごを見かけるようになりましたが、まだまだ高くて手が出ませんのでせっせと梨を楽しんでいます。


こちらでもnashi(ナシ)という名で和梨が売っているのですが、なんとなく食指が動かず試したことはありません・・・やっぱり西洋梨の種類が豊富だし、和梨は日本のもののほうがおいしそうなので。
f0241468_17275211.png
冬から春にかけて収穫される、冬梨のPasse-Crassane(パス・クラッサン)がなんといってもいちばん好き。熟れてくると強い芳香を放ち、果肉がしっとりとして果汁たっぷり。生でももちろん、ソテーにして食べてもまたおいしいんです♡わりと古い、フランス原産の品種。
花柄の先端にワックスがしてあることが多いです。かつて水分の蒸発を防ぐ意味で施してあったものの無意味であることが分かった現在でも、人を惹きつけるために行われているそうです。確かに魅力的かも。
石細胞(梨とかマルメロとかによくあるざりざりとしたもの)が多いので、あのじゃりじゃり感が苦手な方にはいやな感じかもしれません。

長っ細いかたちが特徴のConférence(コンフェロンス)、秋から春先まで出回るこの梨も、わりと古い品種だそうです。みずみずしく優しい味わいですが、Passe-Crassaneほど芳醇ではないので、我が家では人気控えめ。さっぱりした果物が欲しいときに食べています。ソテーにするのによく使います。

ころんとした形とつるりとした皮の表情が愛らしいAngélys(オンジェリス)は、2000年代に入ってから生産されるようになった新種の梨。原産地であるAngers(オンジェ)とフランス王の紋章lys(リス / ゆり)とを組み合わせた名前だそうです。これは少し和梨っぽいところがあって酸味が強めのさっぱりとした味。Passe-Crassaneの酔いそうなほどの芳醇さが好きな我が家では(しつこい^^;)月に2回ほどしか食べません。

最後はComice(コミス)。八百屋先生によると今年は不作だったそうで、何度か買ってみたけれど確かに美味しくなかったです。果肉がとろりと柔らかくて優しい香りのわりと好きな梨なのですが・・・表皮がほんのり赤く色づいていることが多いのですが、朝晩と昼の寒暖差による影響だそうです。
f0241468_17285421.jpg

洋梨のワイン煮・黒胡椒風味。
これは鴨料理が得意だったというAndré Daguin(アンドレ・ダガン)という元ミシュラン二つ星シェフのレシピ。いつも彼のレシピどおり、洋梨はPasse-Crassane、そして赤ワインはマディロンを使って作っています。シロップをそのままで食べるのはもちろん、グラニテにしても美味♡バニラアイスクリームがあれば最高。濃厚なチョコレートのアイスクリームも合うと思います。
[PR]



by paloise | 2013-03-29 17:32 | 野菜図鑑

オリヴァー・ストーン監督『アレキサンダー』

歴史映画が大好きです。
夫はアレキサンダー大王に強い興味を持っていて、しょっちゅう私に彼(馴れ馴れしいか・・・)の話をするのですが、先日その生涯を描いた映画『アレキサンダー』(原題 “Alexander”)を観ました。2004年のアメリカ映画です。
f0241468_1914232.jpg

アレキサンダー大王の死から40年、臣下であったプトレマイオス1世(アンソニー・ホプキンス)はアレキサンダーの生涯を記録に残すための口述をしている・・・
紀元前356年、マケドニア王ピリッポス2世(ヴァル・キルマー)と妃オリュンピアス(アンジェリーナ・ジョリー)とのあいだに生まれたアレクサンドロス3世=アレキサンダー大王(コリン・ファレル)はアリストテレス(クリストファー・プラマー)に学び、ギリシャ的教養と科学的な探求心を身につける。両親の不仲に苛まれていた紀元前336年のある日、父王ピリッポス2世が暗殺され、アレクサンドロス3世は20歳でマケドニア王となる。翌年にはマケドニア北境とギリシャの反乱を鎮圧し、テーベを滅ぼした。その翌年の紀元前334年にはピリッポス2世の計画していたペルシア遠征へと乗り出す。


コリン・ファレルとアンジェリーナ・ジョリーという大根役者が主要人物を演じているのは残念でしたが、それを補って余るほど上手に作られた映画でした。ヴァル・キルマーは上手だし。コリン・ファレルのひたすら声を張り上げる台詞読みやアンジェリーナ・ジョリーのけれんたっぷりな演技に対して、アンソニー・ホプキンスの無駄のない演技やクリストファー・プラマーの静かな声の醸し出す、豊かな表情よ!
アレキサンダー大王にいままで興味がなかった(というかこのあたりの歴史が複雑に過ぎてついていけなかった)のですが、確かに、この人についてもっと知りたいと思うような人物でした。でもこの辺の戦いの歴史というのは、ほんとうに血なまぐさくておどろおどろしいですね。まあ、戦いの歴史ってそんなものかな。
[PR]



by paloise | 2013-03-28 19:16 | 私の映画館

Buzet ビュゼ

毎晩欠かすことなく晩酌をするので、晩酌用のワインは10ユーロ以下の安価なものから選びます。大体2人で1本を2〜3日で空ける感じ。
特に、ここから産地の近いものなら輸送費が掛かっていないこと、比較的知名度の低いものが多いことなどから、費用対効果の高いものが手に入るので、もとより地産地消を心がけている私たちは普段、Madiran(マディロン)、Gaillac(ガイャック)、Saint-mont(サン=モン)、Buzet(ビュゼ)、Jurançon(ジュロンソン)など、近場のワインを好んで飲んでいます。

夫ともどもひどく気に入って何度も飲んでいた、栗の香りのする豊かな味わいのビュゼがあったのですが、近所の酒屋さんでは手に入らなくなってしまい、最近はいろいろなビュゼをお試し中。

f0241468_15232231.png
1本目は、信頼している酒屋さんのおばさんの「間違いなし」という一言で選びましたが、お気に入りだったものとは比べものにならないし、10ユーロ以下のワインをさんざん飲み尽くしてきた私たちにとっては費用対効果低し、のワインでした。Baron d’Ardeuilというワインで2007年のもの。2011年の un vin presque parfait(ほぼ完璧なワイン)に選ばれているんですけどね・・・そうそう、飲み口にバニラが香るのは心地よかったです。

2本目は夫の誕生祝いにと隣人カップルが贈ってくれたもの。2010年のLa Gravetille。優雅ではあるけれど平らな味わいで、飲んでいてすごく嬉しくなるようなものではなくて、残念でした。カベルネ・ソーヴィニョンを飲んでいる、という感じ。

3本目はわりと美味しかった♪黒すぐりのような香りのする、なめらかで均衡の取れた味わい。渋みも美味しかった。パリで毎年早春に開催される農業国際見本市にて行われる家畜・農産加工品のコンクールで、農業・食品大臣賞金賞をもらっているもの(けっこうたくさんの品が受賞するのですが)。2008年のBaron d’Albret。d’Albret(ダルブレ)と聞いて「おや」と思った方はかなりのアンリ4世好き。そう、アンリ4世の母Jeanne d’Albret(ジャンヌ・ダルブレ)の公領地だったところでつくられているのです。

4本目は、値段を考えればまあ悪くないかなという一本。2008年のRoc de Mazère。第一印象はやや酸っぱくて「え?なにこれ大失敗?」という気持ちになりますが、口に残る味わいにはほんの少し苦みがあるというか、胡桃や栗のようなこくがあります。二日目には酸味は姿を消してしまい、生き生きとした雰囲気。空気に触れるとどんどん変化します。

ビュゼはフランス南西部Lot-et-Garonne(ロット=エ=ガロンヌ)という県で生産されるAOCワイン。
赤も白もロゼも作っているそうですが、飲んだことのあるのは赤だけ。使用を許可されているぶどうは、赤がカベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、メルロ、マルベック、白はミュスカデル、ソーヴィニョン・ブラン、セミヨン。そう、ボルドーとまったく同じ品種のぶどうなんですよ^^

ワインのAOCは、なにかの印がついているのではなく、Appellation d’Origine Contrôllée の Origine の部分に産地を入れて記してあります。ビュゼなら Appellation Buzet Contrôllée、サン=テミリオンならAppellation Saint-Émilion Contrôllée という具合。
[PR]



by paloise | 2013-03-27 15:26 | 美禄

haricot blanc 白いんげん豆

豆を炊くのが好きです。
水で戻さずに圧力鍋で炊くほうが美味しいとも聞きますが、炊いている最中の愛らしい豆たちを見に台所へゆく楽しみがなくなってしまうので、普通の鍋で炊いています。圧力鍋で炊いてみたいと思いつつ、毎度この誘惑に負けてしまうのです。
f0241468_22385479.jpg

これは白いんげん豆。うちでいつも食べているのはharicot tarbais(アリコ タルベ)という白いんげん豆(Label Rouge)で、Tarbes(タルブ)というフランス南西部の都市で生産されているものです。

haricot blanc(アリコ ブロン)は白いんげん、という意味そのものですが、haricot maïs(アリコ マイス / とうもろこしいんげん)と呼ぶこともしばしば。ベアルンでは白いんげん豆を、とうもろこしを支柱にしてつるを這わせ、栽培する習慣があるため、このように呼んでいます。
香りがよくてもちりとした滑らかな舌触り、ふっくりと炊けたときの艶やかな白い姿・・・大好きです♡


市場に顔を見せる野菜たちも段々と衣替えをし始めたので、この冬最後かなあ、と言いながらgarbure(ガルビュール)を作りました。けっこう前のことですが・・・
f0241468_22392996.jpg

ガルビュールはガスコーニュ特有の料理です。もとは農民の日常的な一皿だったもの。ベアルン発祥です。鴨やガチョウのコンフィあるいは生ハムで出汁を引き、キャベツ、にんじん、じゃがいも、セロリ、たまねぎ、かぶら、ポロねぎ、白いんげん豆などを加えたもので、地域や家庭、その日に手に入る野菜によってずいぶん様子の変わってくるスープです。冬の野菜に向いている料理なので、うちでは秋冬限定。

鴨のコンフィで出汁をとると、鴨の甘みが野菜と相まってものすごく美味しい濃厚な一皿になるので、いちばん好きなのですが、なにせ濃厚なので胃に負担が・・・Bayonne(バイヨンヌ)の生ハムで作ることが多いです。
この日、炊いた白いんげん豆を合流させるのを忘れていました!一度に3〜4食分(夫婦2人にとって)できるので、残っているスープに白いんげん豆を入れて、翌日、翌々日の昼にいただきました。豆を入れるとスープにとろみがつき、甘みが増すので、入れるのと入れないのとでは別物なのです。
具を食べてしまって残ったスープに赤ワインを入れて飲むことをchabrol(シャブロル)と言い、これがけっこう好きでよくやるのですが、夫に必ず「野蛮人!」と言われます037.gif
[PR]



by paloise | 2013-03-26 22:51 | 野菜図鑑

パトリス・ルコント監督『リディキュール』

『髪結いの亭主』(原題 “Le Mari de la coiffeuse”)は好きな(というか、心にずっしりと残っている)映画の一つですが、同じ監督の『リディキュール』(原題 “Ridicule”)も大好きで、何度となく観ています。1996年のフランス映画。
f0241468_18162722.jpg

1789年に始まるフランス革命前夜、ヴェルサイユを舞台にした物語。
ドンブ(Dombes / ブルゴーニュの小地方。沼地の多い地域)地方の領主グレゴワール・ポンスリュドン=ド=マラヴォワ(シャルル・ベルラン)は、不潔で人々に疫病をもたらす沼沢地に頭を悩ませた末に干拓の計画を立て、その陳情のためルイ16世(ウルバン・キャンスリエ)の暮らすヴェルサイユの宮廷へと赴く。その道中追い剥ぎにあい倒れていたところを、ベルガルド伯爵(ジャン・ロシュフォール)に救われる。
宮廷の生活は機知に富んだ巧みな会話術や特別な振る舞いが求められる世界。宮廷に出入りする貴族たちは自分の名を王に知らしめるため、お互いを貶めることに余念がない。一度でも失敗をすればそこに居ることのできなくなる、熾烈で残酷な戦いの場であることをよく知るベルガルド伯爵は、故郷へ帰るようにとグレゴワールを諭す。しかしある日、宮廷のサロンで有力者ブライヤック伯爵夫人(ファニー・アルダン)の愛人ヴィルクール司教(ベルナール・ジロド)と互角にやり合ったグレゴワールの頭のよさに気づき、彼の後見人を務めることにする。果たしてグレゴワールは宮廷に出入りするようになるが・・・


ridicule とは「嘲笑すべき」「こっけいな」といった意味の形容詞であり、「もの笑いの種」「滑稽な人」といった男性名詞でもあります。宮廷で振る舞いを間違えること、相手にとんちでやり負かされるたりすることで、もの笑いの種になることを皆、なによりも恐れているのです。
けれども視点を変えるといったいなにが ridicule なのか・・・

まずなんと言っても言葉遣いが綺麗です。ゆっくりと綺麗なフランス語で底意地の悪いことを、直截に意地の悪い言葉で言うのではなく、とんちの効いた言葉で言うのを聴いているのはすごく面白いものです。そして当時の堕落した貴族社会における権力の運用の仕方がきちんと描かれているのも興味深くて、何度観ても面白いなあと思います。
主演のシャルル・ベルランもいいけれど、なんと言ってもベルナール・ジロドが凄い。滑稽なほどに悪意に満ちていて気取りやのヴィルクール司教を、上手に演じています。若いうちにこの世を去ってしまったことが残念。
当時のフランスではシャルル=ミシェル・レペという教育者が世界初のろうあ学校を設立し手話教育を行っていたのですが、そのあたりのことが少し出てくるのも興味深いです。
[PR]



by paloise | 2013-03-25 18:19 | 私の映画館

Ossau-iraty オッソ=イラティ

フランスに越してきた当初、近所のバーでアペリティフをしていたときに出会って大好きになったのが、brebis(ブルビ 雌羊)の乳で造られるセミハードタイプのチーズ、オッソ=イラティ(AOP)でした。

フランス南部のバスク地方、及びベアルン地方原産のこのチーズ、Ossau-iratyの名前は、私の住む街からも見えるMidi d’Ossau(ミディ ドッソ)という高峰と、欧州一広大な森、Iraty(イラティ)から来ています。
f0241468_21162028.png

左上から時計回りにミディ ドッソ(真ん中の高峰です)、ピレネー山脈に放牧中の羊さんたち、オッソ=イラティ、グリオット(さくらんぼの一種)のジャムといっしょに

茶色っぽい灰色の硬い皮に包まれたオッソ=イラティ、中身は乳白色の滑らかできめ細かいお肌。
5月から12月までのあいだにピレネー山脈のほうへ行くと羊たちが放牧されているところに遭遇しますが、おいしい山の植物をたっぷり食べたその子たちのお乳がこのオッソ=イラティにも使われています。羊乳のチーズは牛乳のそれよりも豊かな味がするので、とても好きです。

こくがあって後を引く味わい・・・熟成期間は3ヶ月以上とされていますが、6ヶ月くらいのものが好きです。ごく薄く切ったものを黒さくらんぼのジャムと一緒に供されることが多い(件のバーでもそのようにして出されました)ですし、実際にとても素晴らしい組み合わせですが、さいの目に切ったものをそのまま食べたり、サラダに使ったりするのもよいと思います。
[PR]



by paloise | 2013-03-22 20:57 | 食べもの

髙村薫『黄金を抱いて翔べ』

フランス革命の頃に提案されごく短い期間フランスで実施されていた革命暦というのがあります。
宗教色の濃いグレゴリオ暦を嫌って考案された暦だそうですが、グレオリオ歴に慣れていた人々の生活に混乱を招き、12年ほどで廃止されました。
その暦の月名が、vendémiaire(葡萄月)、brumaire(霧月)、floréal(花月)など、ひどく素敵な名前なのです。日本の旧暦の月名みたいで文学的。

その革命暦において現在の2月、3月はventôse(ヴォントーズ / 風月)と言いますが、その呼び名のとおり、暴力的なまでの風が吹き荒れる日々が続いていました。日本でも春には強風が吹き荒れますが、こちらでも同じこと。そして今日3月20日からはgerminal(ジェルミナル / 芽月)。夫の弟の名前でもあります。春分。芽吹きの季節へと移ろう様子があちらこちらで伺えます。


すっかり本題から遠ざかってしまいましたが・・・ぐうたら日曜日の楽しみにと取っておいた『黄金を抱いて翔べ』を読みました。これも昨年の帰国時に買っておいたもの
f0241468_20572065.jpg

髙村薫のデビュー作だそうで、昨年の秋、井筒和幸監督によって映画化されたものが公開されたのに伴い、書店で文庫本が平積みになっていました。妻夫木聡が主演、というのがいまひとつですが、映像で観てみたいなあ、とは思います。
雑誌で掲載されていたもの、単行本、文庫本、それぞれ結末が変更されているというのも気になります。私の読んだものは文庫本。最終的に著者にとって納得のいく結末が、文庫本のそれなのでしょうか。

大阪の街でそれぞれ異なる人生を生きる6人の男たちが、銀行の地下に保存されている100億円相当の金塊を強奪しようと企てる物語。綿密な計画を立て、必要な品を揃えていく最中、労働運動の活動家、朝鮮の工作員、左翼系過激派など、陽の当たらない場所で暮らしてきた男たちの過去が、さまざまな事件を招き寄せていく・・・

あっという間に物語の世界に引き込まれ、一気に読み終わってしまいました。犯罪小説でありながら男たちの人生そのものを描いた小説で、犯罪の行方よりも、彼らの人生の行方のほうに惹きつけられます。
髙村薫、いままでちっとも読んだことがなかったのですが、読む楽しみが増えて嬉しい!寡作の人らしく、作品の数が少ないので、これからゆっくりと彼女の作品を楽しむつもりです。


髙村薫(1994)『黄金を抱いて翔べ』新潮文庫
[PR]



by paloise | 2013-03-20 21:01 | 本棚

ガスコーニュとベアルン

このブログには「ガスコーニュ便り」という名前をつけていますが、ガスコーニュ(Gascogne)というのは現在のフランスの行政区画ではなく、かつて存在した国の名前です。いまでも私たちが「飛騨」とか「信濃」とか言うのと同様に、フランスでもかつての国名や州名で地方を表すことがよくあります。
f0241468_2341057.png

左の地図の緑色の部分がガスコーニュ。右の地図の緑色の部分はベアルン。赤丸をつけたPau(ポー)という都市を中心に見るとわかりやすいかも。

ガスコーニュは、中世(フランスでは西ローマ帝国の滅亡(476年)からコロンブスによる新大陸の発見および国土回復運動の完了(1492年)までの時代を指します)初期から11世紀初頭までフランス南西部に存在した公国の名前です。
現在のHautes-Pyrénées(オート=ピレネー)、Gers(ジェール)、Landes(ランド)の3県と、Ariège(アリエジュ)、Haute-Garonne(オート=ガロンヌ)、Gironde(ジロンド)、Lot(ロット)、Pyrénées-Atlantiques(ピレネー=アトランティック)、Tarn-et-Garonne(タルン=エ=ガロンヌ)という各県の一部に相当する地域。
フランスの県名を並べてもいまひとつ想像がつかないと思いますが・・・日本でも知られているBayonne(バイヨンヌ)やBordeaux(ボルドー)、Lourdes(ルルド)といった都市は皆、ガスコーニュに入っています。

大デュマの『三銃士』の主人公ダルタニャンにはモデルとなった実在の人物がいるのですが、彼はガスコーニュ出身だったそうです。
フォワグラやワイン、アルマニャックなどが有名な特産品です。


私の住むところはガスコーニュと呼ばれることもありますが、もっと狭い範囲を指すBéarn(ベアルン)と呼ぶことのほうが多く、自分たちのことをいうとき、Gascon(ガスコン / ガスコーニュ人)ではなくBéarnais(ベアルネ / ベアルン人)というのが普通です。
f0241468_231386.png

上はガスコーニュの旗、下はベアルンの旗。

ベアルンは、9世紀初頭から16世紀の後半までフランス南西部に存在した独立国の名前。13世紀の終わり頃までは独立国でしたが、その後Navarre(ナヴァル)王国の属州となり、ナヴァル国王であったアンリ4世がフランス王に即位した1589年、フランス領となりました。現在の行政区画では、Pyrénées-Atlantiques(ピレネー=アトランティック)にほぼ一致しています。

つまり、ガスコーニュと呼ばれる地方のなかにベアルンという地方がある、ということです。
[PR]



by paloise | 2013-03-18 23:08 | はじめに

蠱惑的な飲みもの armagnac アルマニャック

季節の行きつ戻りつするのに身体が少々お疲れ気味。
三寒四温はアジアにかぎったことではないのね、と感じる日々です。

先日、夫が誕生日を迎えました。お祝いはフランスの誇るブランディ、アルマニャックにしました。夫のいちばん好きな食後酒。そして私の好物でもあります♡
f0241468_21192438.jpg

今回のアルマニャックは、辛口の白ワインでも有名なChâteau du Tariquet(シャトー デュ タリケ)というぶどう園のもの。綺麗な琥珀色の、とろりとした液体にうっとり・・・このぶどう園を所有するグラッサという一族は、ほかにも二つの広大なぶどう園を所有するワイン・アルマニャック生産者だそうです。

稲作の盛んな日本では米を使った蒸留酒である焼酎が豊富なように、ぶどう作りの盛んなフランスではぶどう酒の蒸留酒づくりが盛んです。
コニャック(cognac)とアルマニャックは二大銘酒。どちらもAOCに認定されています。
ほかに、ぶどうの搾り粕で造るブランディ、マール(marc)や、りんご酒を蒸留して造るカルヴァドス(calvados)などが食後酒の代表でしょうか。マールはイタリアで言うところのグラッパですね。

アルマニャックは古い地方の名称で、ガスコーニュの一部。現在のGers(ジェール)という県とLandes(ランド)という県、そしてLot-et-Garonne(ロット=エ=ガロンヌ)という県にまたがる地域です。
土壌の質によってHaut-Armagnac(オ=アルマニャック)、Armagnac-Ténarèze(アルマニャック=テナレズ)、Bas-Armgnac(バ=アルマニャック)という三つの区域に分けられているのですが、バ=アルマニャックのものがいちばんおいしいです。間違いなく。アルコール度数は40度以上とじゅうぶんに高いのに、喉を焦がすような刺激はなく香りが豊かでまろやか。
翻って、オ=アルマニャックやアルマニャック=テナレズのそれらは、エタノール臭がきつく、旨味が少ないのです。お店で試飲させてもらうたび、土壌によってこんなに変わるものか、と感心してしまうほど。

アルマニャックには、公式ではないけれども熟成期間に応じた格付けがあります。
熟成期間が2年以上のものは ***(三つ星)あるいはVS(Very Special)、4年以上のものはVSOP.(Very Superior Old Pale)、6年以上のものはNapoléon、10年以上のものはXO(Extra Old)あるいはhors d’âge(オール ダージュ、強いて訳せば「年代物」)、20年以上のものはXO Premium(Extra Old Premium)ということですが、公式な格付けではないため業者によってばらつきがあります。

ちなみにフランス語で蒸留酒は eau-de-vie(オ ドゥ ヴィ)と言います。英語のウィスキー同様、「命の水」という意味。北欧のアクアヴィットと言いロシアのウォツカと言い、皆その意味は「命の水」。いまではその味わいを楽しむ完全なる嗜好品も、かつては薬だったのだなあ、と思いつつ、しっかりアルマニャックの味わいを楽しんでいます。
f0241468_21114573.jpg

久々にブランディ入りのチョコレートを食べたいという気持ちがむくむくと湧いてきたので作りました。このアルマニャックを使ったら夫がショックを受けるだろうと思い、料理に使っている安いコニャックにしておきましたけどね^m^
[PR]



by paloise | 2013-03-17 21:17 | 美禄

ピレネー山脈の見えるフランスの街から三方を山に囲まれた古都に引っ越しました。
by haruka
プロフィールを見る

最新の記事

鉄製フライパン
at 2016-08-28 12:19
冬の果物事情
at 2016-02-04 22:33
大晦日
at 2015-12-31 10:00
京都に再び暮らし始めて
at 2015-10-28 22:00
テレビシリーズ “Rippe..
at 2015-10-12 16:19

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像を無断で使用することを禁じます。