ガスコーニュ便り

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エリザベス・ストラウト『オリーヴ・キタリッジの生活』

昨年の秋頃に一時帰国した際、フランスに戻ってから読むための本を書店で物色していたときに何気なく手に取り購入したら、思いの外好みだった、という一冊です。
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オリーヴ・キタリッジというのは女性の名前。
ぶっきらぼうで率直な物言いが読む者(そしてもちろん作中に登場する周囲の人々の)の心をどきりとさせる、無骨でいてかつ繊細な女の人。
読み進めるほどにオリーヴの人柄に魅了されてゆきます。

短編の連作集で、そのすべてに彼女が登場します。短編を重ねるごとに月日は流れ、彼女も彼女の周囲の人々も、年を重ね人生の様々な場面を迎えていきます。
アメリカの、架空の小さな町での人々と、日常的な出来事とを描いたものなのですが、このように、その土地の風土や人々の心情の普遍性を表現した小説がとても好きです。

ジュンパ・ラヒリの『停電の夜に』(これも小川高義による翻訳)や、野呂邦暢などもそう。
心象風景を綴った作家といえば佐藤春夫ですが、大学生の頃に『田園の憂鬱』を読んだ際には「これが新しい試みだったんだなあ」という感想しか抱きませんでした・・・。

エリザベス・ストラウト、かなり好きになりました。『オリーヴ・キタリッジ』の前に発表された “Amy and Isabelle” と “Abide with Me” を探して原語で読んでみようと思います。


エリザベス・ストラウト『オリーヴ・キタリッジの生活』小川高義訳/早川書房(2012)
原題 “Olive Kitteridge” Elizabeth Strout(2008)
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by paloise | 2013-02-28 20:26 | 本棚

oignon doux des Cévennes セヴェンヌの甘たまねぎ

日本の初夏に出回る甘くて瑞々しくて柔らかな、新たまねぎが大好物です。

oignon doux(オニョン ドゥ)と呼ばれるたまねぎは、新たまねぎによく似て、薄く柔らかい皮に包まれています。
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doux は「甘い」とか「柔らかい」とかいう意味の形容詞ですが、まさに甘く柔らかなたまねぎです。
なかでもフランス中央山地南東部にある Cévennes(セヴェンヌ)という山岳地帯で生産されているものはとても美味(AOP)。

薄切りにしたものを生で食べるのはもちろん、じっくり弱火で炒めて軽く塩をしたものを肉料理のつけあわせにしたりもします。ねぎ類の、癖の強い味は薄く、柔らかくとろりとした食感と濃い甘みが豚肉によく合うので、豚フィレミニョンのソテーや、豚の生姜焼きに添えたりします。もちろん肉じゃが(こっちは牛肉ですが)のような煮物にも使います。
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ちなみに一般的なたまねぎは oignon sec(オニョン セック 乾いたたまねぎ)などと呼ばれるもので、辛みが強く硬くて火の通りが遅いので、しっかりとした煮込み料理に使います。
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by paloise | 2013-02-24 20:49 | 野菜図鑑

春を感じるチョコレート

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一人当たりの年間チョコレート消費量トップはギリシャで11.6kg、次いでスイスの10.5kg、3番目はイギリスで9.7kg。その後ノルウェー、デンマーク、フィンランド、スウェーデンと北欧諸国が続き、フランスは6.3kgで8番目だそうです。ちなみに日本は2.1kg。(2010年の国際菓子協会/欧州製菓協会資料より)

フランスに来て、フランス人(というか夫)のチョコレート好きに目を見張るばかりだったので、世界トップだとばかり思っていましたが、上には上がいるんですね。
とはいえ、やはりチョコレート好きのフランス人は多いです。街中を歩いていて左右どちらかを見ると、大体チョコレート屋さん(あるいは下着屋さん)があるし、スーパーのチョコレートコーナーには多様性に富んだチョコレートが並んでいます。

スーパーに行くと、必ず板チョコレートを仕入れてくるのですが、私が好きなのは、スイスはリンツ社のキャラメル片入りミルクチョコレート、あるいは同じくリンツ社のヌガー入りのミルクチョコレート。これと決めてはいるのですが、新商品が次から次へと出てくるので、一応全体を見たりします。

で、先日「おおっ!」と嬉しくなって手にしたのがいちご(凍結乾燥されたもの)入りのホワイトチョコレート。いちご入りのチョコレート(いちごポッキーとか)って、日本ではよく見ますが、フランスではあまり見ない気がします。夫に見せびらかしたところ、「私なら絶対に買わない」と言われましたが、食べてみるとどうしてどうして、かなりの上出来だと思います。いちごの風味がもう少し強ければなあ、という気がしないでもないけれど、満足。ちなみに夫はひとかけら味見したあと、さらにふたかけら食べていました^m^

ところでこのチョコレート、フランス南西部の Oloron-Sainte-Marie(オロロン・サント・マリ)で製造されているそうです。我が町から40km程度のところで作られているなんて、面白いなあ、と思いますが、不思議ではないんです。
カカオの実をヨーロッパに持ち込んだのはコロンブス。それをスペイン人が普及させていったのがヨーロッパでのチョコレートの歴史の始まりです。そのため、スペインとの国境に近いフランス南西部ではチョコレートづくりが盛んというわけ。Bayonne(バイヨンヌ)は特に有名です。
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by paloise | 2013-02-22 19:01 | 甘いもの

登場人物

八百屋先生
屋内市場に八百屋を営むおじさん。農家でもある。野菜が大好きで野菜を愛するとっても物知りな人。珍しい野菜があると必ず取っておいてくれる。仕事熱心だけれど、計算が苦手でレジスターを使いこなすのがものすごく下手。よく混乱している。毎回なにかとオマケをくれる。

アンディーヴのおじいちゃん
市場に直売に来る農家のおじいちゃん。とても優しい。いつもよくしてくれて、しょっちゅう野菜や果物をくれようとする。冬には、見た目は悪いけれども非常に美味しいアンディーヴを作っている。糖尿病を患っているがいつも元気。買い物の度に「ふたりで日本へ逃避行しよう」と誘ってくる。

クーガーおばさん
市場に直売に来る農家のおばさん。見た目がクーガーっぽいがクーガーではなく、陽気で威勢のよい優しいおばさん。ほかの農家よりも美味しい野菜を作っている。とっても優しい旦那さんをばっちり尻に敷いている。
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by paloise | 2013-02-21 08:50 | はじめに

フランスの食品表示

AOC
 L’appellation d’origine contrôlée(原産地呼称統制)の略称。
 伝統的な農業製品の原産地を保証するフランス独自の制度、及びその品質保
 証票。ワインやチーズ、バターなどの農業製品に関し、産地や製造技法、そ
 の品質評価において、定められた基準に達するものにのみ与えられる認証。

AOP
 L’appellation d’origine protégée(原産地呼称保護制度)の略称。
 EU(欧州連合)共通の品質保証制度、及びその品質保証票。
 近い将来AOCはAOPに統合される予定。AOCの認定を受けている製品は
 AOPの保証票を表示することが義務づけられている。
 ただしワインに関しては別の法規制があるのでAOCのまま。
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Label Rouge
 日本語に直訳すると「赤ラベル」。限定された製法で生産され、良品質を保証
 された野菜、肉類、卵、魚介類などの食品に与えられる認証。
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IGP
 Indication géographique protégée(原産地表示保護制度)の略称。
 EU(欧州連合)共通の制度で、生産地名を保護する制度、及びその保証票。
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by paloise | 2013-02-21 01:28 | 野菜図鑑

オリヴァー・ストーン監督『野蛮なやつら/SAVAGES』

オリヴァー・ストーン監督。
話の内容はどうあれ、観ていて安定感のある映画監督、映画の作り方を心得ている映画監督だと思います。

2012年制作の "Savages" を観ました。
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原作はアメリカの人気作家ドン・ウィンズロウ。
邦題は『野蛮なやつら/SAVAGES』となっていて、日本ではこの3月に公開されるようです。

物語の出だしをかいつまんで説明すると、

大麻栽培のビジネスを成功させた二人の若者、ベン(アーロン・ジョンソン)とチョン(テイラー・キッチュ)。親友同士のベンとチョン、そして二人の共通の恋人オフィリア(ブレイク・ライヴリー)の三人は、カリフォルニアのラグナ・ビーチで優雅に楽しく暮らしているが、女王エレナ(サルマ・ハエック)率いるメキシコの巨大な麻薬カルテルに目をつけられ、強引な提携を結ぶことを迫られた末、話がこじれてオフィリアを人質に取られてしまう・・・

という具合です。
題名の "savages" とは「残忍な人」という意味の名詞の複数形。麻薬カルテルの人間を指しています。
麻薬カルテルの人間たちの非常さ、残忍さをきっちりと映像にしていて、私の大好きなベニチオ・デル・トロも、この映画ではエレナの部下ラドとして非道な人間を演じきっていました。人を人とも思わない、男を拷問し尽くして殺し、女を強姦する、まさに "savage" です。

いつも思うのは、オリヴァー・ストーン監督は悪を美化しないところが素晴らしい、ということ。
アル・カポネの人生を格好いいものとして描いたり、人情深いやくざに憧憬を抱かせるような映画が蔓延していますが、悪いものは悪いのですから。
『野蛮なやつら/SAVAGES』という邦題は、どこかでやはり悪を賛美している印象を受けるので、オリヴァー・ストーン監督の意図に反するような気がしています。

ちなみにアメリカの麻薬取締局の悪徳警官デニス役でジョン・トラボルタが出ているのですが、なんだか顔が変わったような・・・不自然に肌が若いというか・・・。

親友同士の男二人と一人の女性の、恋愛と友情の入り交じった関係といえば、フランソワ・トリュフォー監督の "Jule et Jim"(邦題:『突然炎のごとく』)を想い出しますが、『野蛮なやつら/SAVAGES』のなかの三人は、どういう未来を迎えるのだろうなあ、なんて思いました。
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by paloise | 2013-02-20 22:43 | 私の映画館

mardi gras 謝肉の火曜日

今日2月12日はカトリックの祭日の一つ、mardi gras(マルディ グラ:謝肉の火曜日)です。

明日(mercredi des Cendres:灰の水曜日)から復活祭の前日までの日曜日を除く40日間は、carême (カレム:四旬節)と呼ばれる、キリストが荒野で40日間断食したのを記念する悔悛の期間。フランスではほとんど聞きませんが、信仰心の篤い人々はこの期間を断食の期間(鳥獣の肉食を避ける)とします。

carnaval (カルナヴァル:謝肉祭)は、この四旬節を目前に控え、浮かれ騒ぐ日々を指すというわけ。mardi gras はその最終日、外は盛り上がっています(小規模ですが)。
フランス全土の風習なのかはっきりしませんが、謝肉祭の期間中に食べるお菓子と言えば merveilles(メルヴェイユ)。バター、卵を加えた小麦粉生地の薄い揚げ菓子です。
merveille というのは「素晴らしいもの」などという意味の女性名詞でもあるのですが、先日友人に「昨日メルヴェイユ作ったよ」と言ったところ、「え〜、なになに?洋服?家具?」と返されて大笑いしました。
彼女はお菓子だと思わず、私がなにか素晴らしいモノを作ったと思ったそう。

さて、謝肉祭最終日の今日、ちょうど義母が遊びに来ることもあって、この期間中3度目のメルヴェイユを作りました。
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彼女のこどもたち(つまり私の夫とその弟)が小さかった頃(30年以上前)に作ったきり久しく食べていなかったそうで大感激、おいしいおいしいと10個くらい食べてくれました!すごく嬉しい^^

実はこのメルヴェイユ、今年初めて挑戦したのです。
あちこちのパン屋さんではこの時期メルヴェイユと称したお菓子がよく売られているのですが、多くの場合「薄い揚げ菓子」ではなく「揚げパン(いわゆるベニエ)」なんですよね。
ベニエは好きですが、メルヴェイユとは本来生地が別物。ずっと自分で作ってみたかったのです・・・今年もそう思っていたところ、折しもイタリアの Yukakoさんが紹介なさっていた「嘘」がまさにメルヴェイユそのものだったので、ありがたくこのレシピで作りました。Yukakoさんに深謝です。


レモンの皮の香りが爽やかで、揚げ菓子なのに簡単に食べられてしまうので1日ですっかり無くなっちゃう。謝肉祭は終わったけれど、ときどきまた作ってしまうと思います。
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by paloise | 2013-02-13 04:25 | 歳時記

バレンタイン切手

2000年からオートクチュール教会のデザイナーがデザインを担当するようになった、フランス郵便局発行のバレンタイン切手。
今年は Hermès(エルメス)による、鮮やかなピンク色で幸福感溢れる楽しいデザインです。
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フランス全体なのか私の住んでいるところのみなのかは不明ですが、郵便局では切手はあまり売っていません。え?という感じですよね
切手を貼らずにどうやって郵便物を出すのかというと・・・
専用の機械で郵便物の重さを量り、提示された郵送料金を入れてその代金が記されたシールを買い、それを封筒なり葉書なりに貼って出すというのが一般的な方法で、郵便局員の人も基本的にそれを推奨してきます。人員削減の一環なのでしょうネ。
私は手紙を出すのが好きだし、素敵な切手を貼るのが好きなので、窓口に行って綺麗な切手を出してくれるように頼むのですが、いいものが買えることはほぼ皆無です。たまに切手好きを理解してくれる局員さんだと、いいのが無いかとアチコチ探し回ってくれたりもするのですけれど。そういう奇特な人にはほとんど出会えません。
だから大体いつも、マリアンヌを買います。
マリアンヌ(Marianne)というのはフランス共和国を象徴する若い女性の胸像の名前。公式文書であれば “Liberté, Egalité, Fraternité”(「自由、平等、友愛」)というフランス共和国の標語とともに印刷されています。
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こんな感じ

フランスの普通切手はマリアンヌの絵柄で、価格によってその色が異なっています。
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いま手元にあるものはこの二色

マリアンヌの切手は色合いもデザインも素敵なので好きですけれど、ときには別の綺麗な切手が欲しい。
そういうときは郵便局のインターネット通販で切手を買います。今回のバレンタイン切手もインターネットで注文したもの。
厚紙で作られた封筒に、切手の収められたグラシン紙の封筒が入って届きます。
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25ユーロ以上で送料が無料になるので、今回は0.97ユーロの切手を26枚買いました。
国際郵便は0.95ユーロ(最近郵送料が値上がりしました)なので2サンチームの無駄が出てしまいますが、素敵な切手で手紙や葉書を出す喜びを思えば無駄ということもないかなあ。
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by paloise | 2013-02-10 00:54 | 抽斗

chandeleur ろうそくの祭り

日本では節分ですね。
地元京都では、母と出掛ける吉田神社の節分祭が毎年の楽しみでした。
福豆も大好きです(まくのではなく食べるのが)。

節分ではありませんが、2月2日はカトリック教会における主の奉献の祝日・聖マリアの御清めの祝日。
chandeleur というのはもともとはラテン語の candēlōrum(ろうそくの祭り)という言葉から来ていて、この祝日にはろうそくを捧げ持つ行進が行われるそうです。
どうでもいいことですが、このラテン語、キャンデロロを想い出させませんか?

フランスではこの日にクレープを焼いて食べるという慣わしがあります。
クレープを食べるという習慣の由縁には諸説あるそうなのですが、よく耳にするのは、クレープを太陽に見立てているというもの。
丸い形をしたクレープは太陽の色形を思わせるため、春の訪れや幸運を意味するということだそうです。今ひとつしっくり来ないような気もしますが・・・小麦粉は大変に貴重なものだったので、キリストにまつわるお祝いをする日の贅沢としてクレープを食べた、という説も聞きます。

無宗教の我が家でも、そんなわけで昨日はクレープを焼いて食べました。
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なんて・・・実は、昨日が chandeleur だということは忘れていたのですが、しょっちゅうクレープを焼いているので偶然昨日も食べただけなのです。

アイスクリームと一緒に食べるのがいちばん好き。
あとは簡単にお砂糖を振って食べるか、黒すぐりや黒さくらんぼのジャムを塗りつけて食べるか。
クレープシュゼットもかなり好きですが、めんどうなので滅多に作りません。


今日は、別のお菓子を作って食べました。
フランスに来て以来小麦粉の摂取量がずいぶん増えたなあ。小麦粉アレルギーになりませんように。
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by paloise | 2013-02-04 00:36 | 歳時記

ピレネー山脈の見えるフランスの街から三方を山に囲まれた古都に引っ越しました。
by haruka
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