ガスコーニュ便り

カテゴリ:私の映画館( 17 )




テレビシリーズ “Ripper Street”

12歳の冬に母が買い与えてくれた偕成社の完訳版シャーロック・ホームズ全集。その物語にどれほど強く深く惹きつけられたかわかりません。物語だけでなく、19世紀頃のイギリス社会の雰囲気や人々の暮らし、とりわけ社会を覆い尽くしていたその暗さにもずいぶんと惹きつけられたものです。簡単に言えば、恐ろしかった。そこに描かれている社会のあり方を怖いと思いました。いまでもイギリスという国では階級差、貧富の差が非常に強く、誤解を恐れずにいえば、その差を仕方なしとする、もっといえば、その差を是とする空気があるように思います。非常に興味深い点の多い国ですが、この面から見ると、他国に劣る国であると常々感じるのです。
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シャーロック・ホームズが活躍したのと同時代のホワイトチャペル、あの切り裂きジャックによる連続殺人事件から間もない頃が舞台のテレビシリーズ“Ripper Street”をみています。切り裂きジャックの事件を担当していたエドムンド・リード警部補(マシュー・マクファディン)と、リード警部補の部下ベネット・ドレイク巡査部長(ジェローム・フリン)、そしてアメリカ人医師ホーマー・ジャクソン大尉(アダム・ローゼンバーグ)が中心となって、ホワイトチャペルで発生する多種多様な事件を捜査する、というのが物語の軸。マッチ製造工場で労働する少女のストライキやエレファントマンと呼ばれたジョゼフ・メリック、秘密結社『黄金の夜明け団』等、物語中で描かれる内容には多くの歴史的事実が盛り込まれており、当時の雰囲気がよく伝わってきます。また、中心人物3人の友情やそれぞれの人生の苦しみあるいは幸福、繊細な感情の移ろいなども大変丁寧に描かれており、しばしば強い感動を覚えます。
 当時のイギリスがいかに暗かったか(イギリスが明るかったことは一度もないかもしれませんが!)が強烈に見えてくるこのシリーズに魅了されながら、このような社会に生きたマルクスの思想を顧みない、あるいは馬鹿にする人々の多くはきっと、イギリスの社会背景を一顧だにしたことのない人々なのだろうな、と思うのです。

ところで私は長年のあいだ、イギリス人はなぜ山高帽のような馬鹿げた帽子を作ったのだろうと思っていたのですが、似合う人が存在するのですね。リード警部補役のマシュー・マクファディンはその声もすごく素敵ですが、なにより山高帽がよく似合う!驚くほど素敵です016.gif

大変ご無沙汰しております。
いまでも遊びに来てくださっている方がいらしたなら、もしかしたらご心配をおかけしているかも?申し訳ありません008.gif私はとても元気にしています!
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by paloise | 2015-10-12 16:19 | 私の映画館

周防正行監督『舞妓はレディ』

遅い夏季休暇取得中に観に行ってまいりました。楽しみにしていた『舞妓はレディ』(2014)、周防監督の新作日本映画です。
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タイトルだけで、“My Fair Lady” が下敷きだとわかるこの映画、筋もすべて“My Fair Lady” が下敷き、つまり『ピグマリオン』そのままのお話です。ミュージカル映画なので、ミュージカル映画が好きでない人にはちょっとおすすめのできない作品。私はミュージカルもミュージカル映画も大好物なので、かなり楽しめました016.gif

京都の花街のひとつである下八軒(注:実在しません)には舞妓が齢30になろうという(!)百春(田畑智子)ただひとりしかおらず、後継者不足に悩んでいた。そんなある日、百春が身を置くお茶屋の万寿楽(ばんすらく)に、春子(上白石萌音)という少女が舞妓になりたいと訪れてくる。強烈な津軽弁と鹿児島弁とを話す春子を追い返そうとする女将(富士純子)であったが、その場に居合わせた言語学者の京野(長谷川博己)が興味を示したことから春子は万寿楽の仕込みとなる。客の北野(岸部一徳)にもこの訛りでは無理と反対されるが、京野は必ず訛りを矯正して一人前の舞妓に仕立てると宣言し、弟子の秋平(濱田岳)とともに春子のことば指導を始める・・・。

結末もはっきりとわかっているし、かなり忠実に “My Fair Lady” をなぞっているので驚きはどこにもないのですが、春子を演じる上白石萌音の歌声は伸びやかで大変に素晴らしいし、万寿楽の芸妓・里春を怪演する草刈民代、男衆役の竹中直人や里春に惚れ込む客を演じる高嶋政宏など、味の濃い役者揃いで観応えがあります006.gif竹中直人&渡辺えりのコンビで “Shall we ダンス?” へのちょっとしたオマージュシーンもありました。草刈民代ってバレエダンサーとしてはなんの才能もない人だし、女優としてもどうなのだろうとこれまで思っていましたが、夫である周防監督の作品ではこんなにも魅力が炸裂するのだなあ、と感心しました。コメディエンヌ向きなのかもしれません。“The Rain in Spain” は「京都の雨はたいがい盆地に降るんやで・・・」と、う〜む、な転用で、ちょこっと残念でしたけれど、ま、些末なことですね025.gif

実はこの日、ほんまもんの舞妓さんがプライベートで『舞妓はレディ』を観に来ていました。トイレでおばさま方からの質問攻めに遭っていましたよ037.gif
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by paloise | 2014-09-22 19:09 | 私の映画館

石井裕也監督『舟を編む』

帰国早々に観に行ってきた映画は、『舟を編む』という美しい題名の日本映画(2013年)です。三浦しをんによる同名の小説を映画化したもの。
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玄武書房辞書編集部に勤めるベテラン編集者の荒木は近々定年を迎える。監修者である松本の強い希望により、後継者となる社員を見つけることになった荒木は、営業部内で変人扱いを受ける馬締光也に目をつける。辞書編纂に人生を捧げる松本と荒木、「チャラ男」ではあるが温かい心を持ち、新語にめっぽう強い西岡、クールで仕事の早い契約社員の佐々木、下宿先の大家であるタケとその美しい孫娘の香具矢に囲まれ、誰かの思いを知りたい、誰かに思いを伝えたいともがく馬締の、そして皆の人生が、新辞書『大渡海』とともに編まれてゆく。

周りの言語学者の諸先輩方が小説をこぞって褒めていたので、映画ともに気になっていたのですが、折よく映画館でかかっていたので映画を観、小説も読みました。三浦しをんという作家のことは、軽い(=安っぽい)作風の人、という認識でしかなかったので読まず嫌いだったのですが012.gif、わりと好きになってしまいました。実際に読んでみてやはり軽い作風だとは感じますが、安っぽくはなく、心に語りかけてくるものがあります。『舟を編む』では辞書作りの現場という、身近ではないけれども非常に興味深い場所が取り上げられていて、とにかく色々な部分が面白い映画(小説)です。心の軽くなる、温かく優しい物語でとても気に入ったので、DVDを買って夫に送りました。
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by paloise | 2014-02-23 12:31 | 私の映画館

テレビシリーズ “Rome”

ずっと観たかったテレビシリーズ “Rome” を見始めました。2005年と2007年に放送されたものなので少し古いのですが、アメリカ HBO 社とイギリス BBC 社、そしてイタリアの RAI 社が共同制作したシリーズ、邦題はやっぱり『ローマ』なのかな?
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膨大な制作費と時間が掛かったそうですが、当然だわ、と納得する出来のよさ。
物語は紀元前50年代から始まります。ユリウス・カエサル(キーラン・ハインズ)の指揮下にあるローマ軍第13軍団の筆頭百人隊長ルキウス・ウォレヌス(ケヴィン・マクキッド)と団の猛者ティトゥス・プッロ(レイ・スティーブンソン)の身の回りで起こることを中心に、内乱期の共和政ローマを描いた壮大な物語。
実はまだ2番目のエピソードまでしか観ていないのですが、すっかりハマってしまっています012.gifちょうどカエサルがルビコン河を渡ったところ、賽は投げられました。なんというか、こういう話は歴史として教わっているので話の顛末がある程度わかっているわけですが、それでもカエサルはどうなってしまうんだろう、とか、ポンペイウス(ケネス・クラナム)はどういう手に出るんだろう、とか思ってしまうものなのですね。また奴隷のあり方(皆さんの思う奴隷ってどういうものでしょうか)や女性の立場、食事の仕方など、限界のある私の想像を遥かに超える当時のローマにおける人々の暮らしや社会そのものを映像でみることができ、本当にわくわくします。
ちなみに・・・古代ローマの名を残した人々って皆、彫刻になっていますが、それがほんとうに上手に役者さんたちに反映されているのも面白いです043.gifオープニングのタイトルバックがまた素晴らしい出来!古代ローマの街中の至る所にある落書きが動くという趣向でじっくりと見入ってしまいます。youtube で映像を見つけたので、未見の方はぜひご覧になってみてください。“Rome” タイトルバック
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by paloise | 2013-12-06 18:48 | 私の映画館

新藤兼人監督『裸の島』

以前ちらりと書きましたが、義母がパリで大学生だった頃(50年以上の昔!)、熱烈に魅せられて何度も映画館に足を運んで観ていたという『裸の島』。映画館で1日だけ上映される日があったので、義母を誘って観に行ってきました。
1960年公開の日本映画。無声映画ではないけれど台詞の一切ない、実験的な映画でもあります。
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瀬戸内海に浮かぶ小さな島に夫婦二人と小学生の長男坊、小さい次男坊の4人が暮らしている。水道もガスも電気もないその島の急な斜面で、夫婦は麦とさつまいもとを交互につくり、生活の糧にしている。朝な夕なに隣の島まで舟を漕いでゆき、水を汲んできては涸れた大地にその水を染みこませるのが夫婦の日常である。厳しい生活、悲喜こもごもいたるなかで、家族は日々を生き抜いてゆく。

とても印象的な映画で、義母が何度も映画館へと足を運んだ気持ちがよくわかりました。観た後の私の感想は “Ça m’a fait du bien.” 義母もまったく同じなのだそうです。日本語にすると、「(心に)いい影響をもたらした」という感じでしょうか。淡々とした厳しい生活のなかで、幸福なことも辛いこともあるのですが、人間が生きてゆくこと、生き抜いてゆくということを問いかけられているようでした。義母の「気高く美しく生きる人」の言葉に私も大きく頷きました。
途中、尾道の市街をロープウェイの中から見下ろす場面があるのですが、一面瓦屋根の住宅ばかりでとても美しく、強く心に残っています。いまでもあの風景が保たれているのでしょうか。
水をなみなみと入れた二つの桶を天秤棒に吊して肩に担ぎ、土を踏みしめて歩く様子が何度も映し出されるのですが、先日観た新藤兼人監督の遺作である『一枚のハガキ』でもまったく同じ場面(担ぐ人は大竹しのぶと豊川悦司でしたけれど)がありました。監督にとって、重要な意味を持つ行為なのでしょうね。

フランソワ・オゾン監督の "Dans la Maison" が『危険なプロット』という邦題で公開されることになったそうです。
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by paloise | 2013-09-25 14:02 | 私の映画館

リチャード・リンクレイター監督 “Before Midnight”

旅行記の続きの前に・・・

公開を楽しみに待っていた“Before Midnight”(邦題は『ビフォア・ミッドナイト』になるのかな?)を観に行ってきました。
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多くの人には、自分の青春時代を重ね合わせながら観る「青春映画」のようなものがあると思いますが、私の場合は1995年のアメリカ映画『ビフォア・サンライズ』(原題 Before Sunrise)がまさにそれに当たります。ジュリー・デルピーとイーサン・ホークが旅先での若く切ない恋を演じ、甘やかな後味を残す良作。青春時代真っ盛りの頃に観て、大好きになった映画です(いま観ても、あの頃のような感動を得ることはないのがなんとも寂しくもあり・・・)。
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ヨーロッパを旅行するアメリカ人のジェシー(イーサン・ホーク)と
フランス人の大学生セリーヌ(ジュリー・デルピー)が長距離列車のなかで出会い、ちょっとした会話を交わした後に離れがたくなりウィーンで下車、題名のとおり、日が昇るまでウィーンの街を歩き回るという物語。全編を通してほとんどがふたりの会話で構成されている、非常に印象的な映画です。オープニングシーンでパーセルの歌劇『ディドとアイネイアス』の感動的な序曲が
使われているところも好き。ふたりは半年後に再会する約束をして別れるのですが、再会は叶ったのか、そしてその後のふたりはどうなったのか、を描くのが2004年公開の『ビフォア・サンセット』(原題 Before Sunset)です。
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ウィーンの街を歩き回ったあの日から9年・・・あの日の出来事を綴った小説を出版し、その宣伝のためにパリの書店を訪れていたジェシーは、そこでセリーヌとの再会を果たします。ジェシーはその日の夕方の飛行機で帰国する予定。ふたりは夕暮れまでの短い時間をともに過ごすことに。飛行機の時間が差し迫るなか、パリの街を歩きながら想い出や現在について語り合うふたり。ジェシーは飛行機に乗ったのか乗らなかったのか・・・それが明かされぬままに物語は幕を閉じます。
その9年後の今年になって公開されたのが、“Before Midnight”。舞台はギリシャのメッシニア。中年期にいるふたりの物語です。
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映画の内容は書きませんが、ジェシー(というかイーサン・ホーク)が年を取って、ちょっとアホっぽい、だらしのない口元がマシになったこと、もともとぽっちゃり系のジュリー・デルピーがさらにぽちゃぽちゃになっていたことが、時間の経過をきっちりと感じさせてくれました。ふたりともたくさんの映画で活躍しているけれど、このシリーズで出会うふたりがいちばん好き。
映画のなかで印象的だった会話・・・セリーヌがジェシーに、「私の性格で変えたいところがあるとしたら、なに?」と執拗に尋ねます。ジェシーは答えたがらないのですが、セリーヌのしつこさに負けて「君が僕の性格を変えたがるところかな」と言います。ああ、私も絶対にそんなのは嫌だ。もしも夫が私のどこかを変えようとしたら、一緒にいたくなくなるでしょうね。人は人の一部を好きになるわけではないのですから。「ここは好きだけれど、ここの部分は嫌だから受け入れられない。変更して」と求められたら・・・考えるだけでもぞっとします。
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by paloise | 2013-07-08 18:55 | 私の映画館

ニコライ・アーセル監督『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』

西欧史関係の映画は多いけれど、北欧ってなかなか見ないような気がします。ニコライ・アーセル監督の『ロイヤル・アフェア』は、18世紀のデンマーク王室を舞台にした映画。原題は“En kongelig affære”、2012年のデンマーク映画です。副題の「愛と欲望の王宮」という字面をみると非常に安っぽい印象を持ちますが、映像が綺麗で、とても興味深い映画でした。なぜこんな副題をつけたのか、配給会社の神経を疑ってしまいます026.gifこちら↓サウンドトラックのパッケージです。
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18世紀の後半、精神状態の不安定なデンマーク王クリスチャン7世(ミッケル・フォルスガード)の侍医となったドイツ人医師ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセ(マッツ・ミケルセン)。彼は啓蒙思想に魅入られた、野心溢れる人物であった。クリスチャン7世を懐柔し、その王妃カロリーネ・マティルデ(アリシア・ヴィキャンデル)と恋仲になったストルーエンセは次第に王室を牛耳るようになってゆくが・・・。

デンマークに関する知識はほぼゼロですから、いちいち新しいことばかりで面白かったのですが、フランス革命よりほんの少し前のデンマークでは、ストルーエンセによって、拷問の廃止、窃盗犯の死刑廃止、捨て子のための病院設置などなど、たくさんの改革がなされていたということは特に興味深い事実でした。ただし、彼は急進的かつ独断で国を支配していたわけで、国民からの支持は得られていなかったこと、その後のクーデタでストルーエンセの改革が無に帰したこともつけ加えておきます。
マッツ・ミケルセンは007シリーズの『カジノ・ロワイヤル』に出てすっかり有名になった俳優ですが、2012年に主演したもう一本の作品、トマス・ヴィンターベア監督のデンマーク映画『偽りなき者』(原題 Jagten)も、大変に良質な映画でした。最近はスウェーデン映画、デンマーク映画によい作品が多く、その映像の美しさには国柄や風土を感じます。
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by paloise | 2013-06-10 19:24 | 私の映画館

パトリス・シェロ監督『王妃マルゴ』

文字で読んだ物語を映像で観ると、必ずなにか驚きがあります。やっぱり読んでいるうちに想像力を使って頭の中に自分なりの心象を浮かべて組み立てているから、それと映像との格差にん?となるのです。そして大体は、やっぱり文字で読んだほうがよかったなあ、と思いがちなのです・・・自分なりの物語像を造るって楽しいですから012.gif
大デュマの小説を元にした映画『王妃マルゴ』も例外ではないのですが、そうは言ってもよくできた映画だと思います。音楽も面白くて好き。パトリス・シェロ監督による作品(原題 “La Reine Margot”)、1994年のフランス映画です。
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フランス王アンリ2世と王妃カトリーヌ・ド・メディシス(ヴィルナ・リーズィ)とのあいだに生まれた娘マルグリット・ド・ヴァロワ(イザベル・アジャーニ)は、カトリック同盟の指導者であるギーズ公アンリ1世(ミゲル・ボゼ)と結婚したいと願っている。しかし母カトリーヌは、当時激化していたユグノー(フランスのカルバン派教徒の総称)とカトリックとの宗教対立を解決するため、ユグノーの指導者であるナヴァル女王の息子で後にフランス王アンリ4世となるアンリ・ド・ブルボン(ダニエル・オトゥイユ)を結婚相手にと命ずる。物語はこのふたりの婚礼の場面から始まる。
1572年の8月のパリには、マルゴとナヴァル王アンリとの婚礼に参列するためユグノー、カトリック両派の貴族たちが集まっており、狂乱状態にあった。当時、母カトリーヌは息子であるフランス王シャルル9世(ジャン=ユーグ・アングラド)が、ユグノーの闘将ガスパール・ド・コリニ(ジャン=クロード・ブリアリ)を重用するのに危惧を抱いていたため、好機とみてコリニ暗殺を目論むが失敗に終わる。ユグノーの報復を恐れたカトリーヌはギーズ公に命じ、サン・バルテルミの大虐殺を決行する。そんななか、襲撃され負傷した貴族ラ・モル(ヴァンソン・ペレズ)を助けたマルゴは彼と恋に落ちる・・・

歴史映画を観る心構えなので、ついついアンリ4世やシャルル9世の物語を期待してしまい、もっと彼らについて描いてほしい、と思うのですが、デュマの小説は『王妃マルゴ』であって『アンリ4世』ではないので当然ですね・・・マルグリット王妃の恋物語ですものね。
乳白色の肌に灰色がかった青い眼、そして暗い色の髪、美しいばら色の柔らかそうなくちびる・・・イザベル・アジャーニの美しさはちょっと凄まじいです(いまじゃ亡霊のようですけれど)。私の頭の中にあるマルゴ像とは異なるのですが、違和感を覚えることはありません。そしてダニエル・オトゥイユってほんとうに幅広い演技で、いつ見ても悪くない俳優だなあ、と思います。顔も好き。どこかアンリ4世に似ていると思います001.gif
アンリ4世が結婚当時カトリック教徒ではなかったこと、かつ集まったユグノーたちへの配慮から、ノートルダム大聖堂の中ではなく外で婚礼を行ったと読んだことがあるのですが、この映画の中では聖堂の中で儀式を行っています。それがちょっと気になりました。小説のなかではどうなっていたかな・・・?

ところで以前ここで触れたフランソワ・オゾン監督の “Dans la Maison”ですが、フランス映画祭2013のオープニング作品として公開されるそうです。その後どこかで上映されるのかなあ。ぜひそうなってほしいと思います。
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by paloise | 2013-05-18 23:02 | 私の映画館

テレビシリーズ “The Tudors”

2007年から2010年まで放送されていたアメリカ・カナダ・アイルランド・イギリス合作のテレビシリーズ “The Tudors” にハマッています。日本でも『The Tudors 背徳の王冠』という題で放送されていたそうです。4シーズンあるうちの2シーズン途中までしか観ていませんが、面白くて続きが楽しみな毎日。
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チューダー王朝の時代、16世紀のイングランドがおもな舞台。英国国教会を設立したあの、ヘンリー8世の生涯を描いた歴史物語です。

映画『ブーリン家の姉妹』(原題 “The Other Boleyn Girl”)を観てからヘンリー8世のことがずいぶん心に残っていたので、その人の生涯を描く物語を映像で観られるのが嬉しいです。
ジョナサン・リース=マイヤースが、ヘンリー8世の狂気を秘めた性格を上手に演じているのも常に緊張感を孕んでいて、恐くて面白いです。ところどころ史実と異なる創作が入るので、これを観て歴史の勉強をすると間違った知識を得てしまうかもしれないけれど、当時のイングランドにおける貴族社会の人間関係や政治の動かし方など、興味深い点がたくさん。『ユートピア』を書いた思想家のトマス・モアが登場していたり、世界史の教科書を想い出すことたびたびです。

シーズン2ではヘンリー8世を破門にしたローマ教皇パウルス3世としてピーター・オトゥール翁が登場し、思わず夫婦ともに「おおっ」となりました(笑)おじいさんになっても眼のぎらつきは変わらない・・・
このシリーズ、衣装や小道具も素晴らしくて、毎回じっくりと見入ってしまいます。夫など衣装をよく観るためにしょっちゅう一時停止ボタンを押すので、煩わしいくらい。それくらいにどれも凝った、美しい衣装なのです。

15世紀から16世紀にかけてローマ教皇を務めた悪名高きアレクサンデル6世とその一族ボルジア家、そして当時の世を描いたテレビシリーズ “The Borgias” (日本では『ボルジア家 愛と欲望の教皇一族』という題で放送されているそうです)が好きなのですが、ほんとうに毎度思うのが、どの国においても宗教と政治(そして金)の結びつきって深い、ということ。高僧や法王って煌びやかで贅を尽くした格好をしていますものね。

“The Tudors” や “The Borgias” のような雰囲気でロシアの歴史ドラマがあったら嬉しいなあ・・・ “House of Romanov” なんて観てみたいです。
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by paloise | 2013-04-03 18:05 | 私の映画館

オリヴァー・ストーン監督『アレキサンダー』

歴史映画が大好きです。
夫はアレキサンダー大王に強い興味を持っていて、しょっちゅう私に彼(馴れ馴れしいか・・・)の話をするのですが、先日その生涯を描いた映画『アレキサンダー』(原題 “Alexander”)を観ました。2004年のアメリカ映画です。
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アレキサンダー大王の死から40年、臣下であったプトレマイオス1世(アンソニー・ホプキンス)はアレキサンダーの生涯を記録に残すための口述をしている・・・
紀元前356年、マケドニア王ピリッポス2世(ヴァル・キルマー)と妃オリュンピアス(アンジェリーナ・ジョリー)とのあいだに生まれたアレクサンドロス3世=アレキサンダー大王(コリン・ファレル)はアリストテレス(クリストファー・プラマー)に学び、ギリシャ的教養と科学的な探求心を身につける。両親の不仲に苛まれていた紀元前336年のある日、父王ピリッポス2世が暗殺され、アレクサンドロス3世は20歳でマケドニア王となる。翌年にはマケドニア北境とギリシャの反乱を鎮圧し、テーベを滅ぼした。その翌年の紀元前334年にはピリッポス2世の計画していたペルシア遠征へと乗り出す。


コリン・ファレルとアンジェリーナ・ジョリーという大根役者が主要人物を演じているのは残念でしたが、それを補って余るほど上手に作られた映画でした。ヴァル・キルマーは上手だし。コリン・ファレルのひたすら声を張り上げる台詞読みやアンジェリーナ・ジョリーのけれんたっぷりな演技に対して、アンソニー・ホプキンスの無駄のない演技やクリストファー・プラマーの静かな声の醸し出す、豊かな表情よ!
アレキサンダー大王にいままで興味がなかった(というかこのあたりの歴史が複雑に過ぎてついていけなかった)のですが、確かに、この人についてもっと知りたいと思うような人物でした。でもこの辺の戦いの歴史というのは、ほんとうに血なまぐさくておどろおどろしいですね。まあ、戦いの歴史ってそんなものかな。
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by paloise | 2013-03-28 19:16 | 私の映画館

ピレネー山脈の見えるフランスの街から三方を山に囲まれた古都に引っ越しました。
by haruka
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